うつ病によく使われている優秀な薬の1つ
サインバルタ(デュロキセチン)
先発品名:サインバルタ
ジェネリック名(一般名):デュロキセチン
うつ病によく使われますが他にも、糖尿病による神経障害に伴う痛み、線維筋痛症に伴う痛み、慢性腰痛症に伴う痛み、変形性関節症に伴う痛みにも使われることが多くなっています。
そのため、飲んだことのある人もかなり増えているのではないでしょうか。
うつ病の薬でありながら、痛みに対しても効果がある優秀なお薬です。
現在はカプセルのタイプのみ販売されています。
1日1回朝食後の使用なので、使いやすいかと思います。
しかし欠点もあり、吐き気や眠気などの副作用が出やすく、吐き気が辛くて薬を中止する方も大勢います。
もちろん吐き気が出ない方も多くいますので、その方にはとても良いお薬ですね。
他の副作用については下部に記載していますのでご参考に。
もう一つの欠点して、薬の値段が高いことです。
まだジェネリック医薬品は発売されていませんので、しばらくはお財布事情との相談になるかもしれません。
そろそろジェネリックが発売されると思いますので、もう少しの辛抱です・・・
豆知識
まず初めに、うつ病は心が弱い、甘えではないということを理解してもらいたいです。
うつ病には大きく、気分が落ち込む抑うつ(よくうつ)タイプとテンションが上がりすぎたり突拍子もないことを言ったりする躁鬱(そううつ)タイプ、その両方を繰り返すタイプがあります。
職場でうつ状態になり、家では普通の状態になる仮面うつ状態もあります。
原因は様々で、ストレスはもちろん、ある薬でもうつ状態になったり、原因なしに突然うつになることもあります。
うつ病の治療には薬が主に使用されるが、飲んですぐに治るということはほとんどないのが現実です。
そこを勘違いしないようにしてほしいと思います。
長期間の治療が必要であり、症状次第では、薬だけでなくカウンセリングや認知行動療法、対人関係療法、電撃療法なども組み合わせることもあります。
うつ病の再発率は半数以上と言われることもあり、その原因はさまざまですが、自己判断での治療の中止、回復後すぐに無理をしてしまうことなどあります。慌てずに自分のペースで治していきましょう。
長くなりましたが、うつ病以外の痛みで飲む際にも気を付けて欲しいことがあります。
薬の作用で、眠気やめまい等が起こることがあるので、普段の生活の中で、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する方は十分注意してください。
事故につながってしまうこともあるので、それらの症状が出た時は自動車の運転等危険を伴う機械を操作は控えましょう!
重大な副作用のまとめ
重大な副作用とは、命の危険があるもの、副作用が出た際に身体に重大な影響があるもの等の副作用症状ですので、是非、目を通していただいて、頭の片隅に置いておいてください!
簡単な症状も記載しておきますので、参考にしてください。
※副作用は必ず起きるものではございません
※ご自身の判断で使用を中止せず、異常がある時は必ず医師・薬剤師にご相談ください
セロトニン症候群
頻度不明
セロトニン症候群(しょうこうぐん)と読みます。
症状は急な不安感やイライラ、体のふるえ、脈が速くなる、汗が多く出てくるなどが現れます。
もし、このような症状が現れた時は、速やかにかかりつけの医療機関や救急医療機関を受診しましょう。
意識が薄れる、もうろうとするなどの症状が出ているときは救急車を呼びましょう。
悪性症候群
頻度不明
悪性症候群(あくせいしょうこうぐん)と読みます。
「悪性」と付くと、がんと思う方も多いかもしれませんが、がんではありません。
症状としては、原因が分からない37.5℃以上の高熱、急に汗をかく、ボーっとする、手足がふるえる、よだれが出る、脈が速くなる、血圧が上昇するなどが現れます。
症状によっては入院も必要なことがあります。
もし、このような症状が現れた時は、速やかにかかりつけの医療機関や救急医療機関を受診しましょう。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
頻度不明
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(こうりにょうほるもん ふてきごう ぶんぴつ しょうこうぐん)と読みます。
体内のホルモンの異常で血液中のナトリウムの濃度が低くなります。
そうなると、体内の水分が過剰になります。
症状として、頭痛、吐き気、めまい、だるさ、意識の乱れ、けいれんなどが現れます。
他の病気との判断が自分では難しいので、このような症状が現れた時は、速やかに医療機関を受診しましょう。
痙攣
0.1%未満
痙攣(けいれん)と読みます。
けいれんは皆さんの想像される通りの部分もありますが、
症状として、手足のぴくつき、身体の一部または全身の筋肉が硬直したり、意識が遠のく、ガクガクとふるえるなどが現れます。
ひどいと、激しい筋肉のふるえと、一時的に呼吸が弱くなり、反応もなくなり、口から泡をふいたり、失禁したりなどの症状も出ることがあります。
このような症状が出たら救急車を呼ぶなどして、すぐに病院を受診してください。
幻覚
頻度不明
幻覚(げんかく)と読みます。
実際にはないものをあるように感じることです。
幻覚の中に視覚(ないものが見える)や聴覚(ない音や声が聞こえる)、味覚(ない味がする)、嗅覚(ないにおいがする)、触覚(ないものを触れる、触られる感覚)などいろいろな症状が現れます。
自分では気づかない(本当にあると思っている)こともあるので、他の人から指摘された際は、病院を受診して相談してみましょう。
肝機能障害・肝炎・黄疸
肝機能障害(0.1%未満)、肝炎・黄疸(頻度不明)
肝機能障害(かんきのうしょうがい)、肝炎(かんえん)、黄疸(おうだん)と読みます。
症状としては、体のだるさ、食欲がない、発熱、発疹、吐き気・おう吐などです。
黄疸の症状は、目の白い部分が黄色になるなどが現れます。
血液検査をしなければ、体調不良との見分けが難しいので、異常があればご相談ください!
詳しくはこちら『肝機能障害、黄疸の症状とは』
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
頻度不明
皮膚粘膜眼症候群(ひふねんまくがんしょうこうぐん)、Stevens-Johnson症候群(スティーブンス-ジョンソンしょうこうぐん)と読みます。
症状としては、高熱(38℃以上)、目の充血、まぶたのはれ、くちびるのただれ、排尿・排便時の痛み、皮ふの広い範囲が赤くなるなどが現れます。
放置していると、ひどい症状になることもあるので、異常が現れたら、病院を受診してください。
アナフィラキシー反応
頻度不明
症状としては、呼吸困難(息苦しさ)、冷や汗、血圧の低下、意識の消失、胸の痛み、体が赤くなる(じんましん)などが現れます。
すぐに、受診か救急車を呼んでください!
詳しくはこちら『ショック、アナフィラキシーとは』
高血圧クリーゼ
頻度不明
高血圧クリーゼ(こうけつあつくりーぜ)と読みます。
症状としては、急激に血圧が高くなります。
それに伴い、心臓、腎臓、脳などに障害が起こることがあります。
高血圧や心疾患のある方においては日頃から血圧をはかりましょう。
急激に血圧が高くなった場合はすぐに受診をしてください。
尿閉
頻度不明
尿閉(にょうへい)と読みます。
尿閉はおしっこが膀胱(ぼうこう)に貯まって出したい気はするのに、おしっこができない状態のことを言います。
症状としては、尿意があるのに出てこない、尿の勢いが弱い、尿が何度もとぎれる、尿をしたあとにまだ尿が残っている感じがあるなどが現れます。
この症状に対して、尿道からカテーテルを膀胱内に入れる治療が必要になることがあるので早めに受診しましょう。
その他の副作用のまとめ
『5%以上』
倦怠感、傾眠(24.3%)、頭痛、めまい、悪心(22.4%)、食欲減退、口渇(12.8%)、便秘(12.4%)、下痢
『1%~5%未満』
不眠、立ちくらみ、しびれ感、振戦、浮遊感、腹部痛、嘔吐、腹部膨満感、腹部不快感、消化不良、胃炎、耳鳴、動悸、頻脈、血圧上昇、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇、総ビリルビン上昇、Al-P上昇、LDH上昇、排尿困難、高血糖、トリグリセリド上昇、総コレステロール上昇、尿中蛋白陽性、発汗、体重減少、体重増加、CK(CPK)上昇
『1%未満』
発疹、そう痒、蕁麻疹、ほてり、発熱、悪寒、脱水、脱力感、あくび、焦燥感、気分高揚、注意力障害、錐体外路症状、不安、異常夢(悪夢を含む)、頭がぼーっとする、性欲減退、躁病反応、錯感覚、無感情、味覚異常、口内炎、歯痛、胃腸炎、咽頭不快感、視調節障害、眼乾燥、霧視、耳痛、起立性低血圧、上室性不整脈、失神、ヘモグロビン減少、赤血球減少、ヘマトクリット減少、鼻出血、背部痛、関節痛、筋痛、肩こり、筋痙攣、性機能異常(月経異常、射精障害、勃起障害等)、排尿障害、血中クレアチニン上昇、BUN上昇、頻尿、尿中アルブミン/クレアチニン比上昇、尿流量減少、血中カリウム減少、浮腫、冷感、熱感、呼吸苦、胸痛、冷汗、咳嗽
『頻度不明』
接触性皮膚炎、光線過敏反応、血管浮腫、皮膚血管炎、激越、オーガズム異常、嗜眠、睡眠障害、歯軋り、失見当識、攻撃性、怒り、歩行障害、開口障害、下肢静止不能症候群、異常感、咽頭炎、咽喉緊張、口臭、嚥下障害、顕微鏡的大腸炎、散瞳、緑内障、異常出血(斑状出血、胃腸出血等)、白血球減少、筋緊張、多尿、閉経期症状、精巣痛、甲状腺機能低下、低ナトリウム血症、乳汁漏出症、高プロラクチン血症、血中カリウム上昇
多くの方が使っている薬でも危険な副作用があります。
副作用が出た時は、対処スピードが重要です。
薬の副作用なのか、体調不良や病気によるものなど原因は多々あります。
実際には医師・薬剤師でも判断はかなり難しいものです。
少しでも気になることがあれば、ご相談ください。
医師には言いづらいこともあると思います。
その際は、お気軽にかかりつけの薬剤師に相談してくださいね!
この記事を読んでくださった皆さんは知識が増えただけでなく、自分自信を守る方法も増えましたね。
「副作用は常に隣り合わせ!」を忘れずに!!
参考
PMDAホームページ
添付文書
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