高血圧によく使われている優秀な薬の1つが
ミカルディス錠(テルミサルタン)
商品名:ミカルディス
ジェネリック名(一般名):テルミサルタン
この薬には20mg、40mg、80mgの3種類があります。
オーソライズドジェネリックという先発医薬品と作り方や添加物も同じ特別なジェネリックも出ているので、先発品にこだわりがある方も問題なく使えて、価格も安くなっている薬も出ています。
豆知識
妊娠時に高血圧になる方が多いのはご存じでしょうか?
日本産婦人科学会の情報では約20人に1人の割合で高血圧になってしまいます。
そうなった際にこのミカルディス(テルミサルタン)は使うことができません。
その理由として、
羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧・腎不全・高カリウム血症・頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の発育不全
等が現れたとの報告があるからです。
妊婦でも比較的安全に飲むことができる血圧の薬がありますので、妊娠を望む方でこの薬を飲んでいるときは主治医に相談しましょう。
普通の高血圧については『ミカルディス(テルミサルタン)』や『ブロプレス(カンデサルタン)』、『アテレック(シルニジピン)』、『アダラート(ニフェジピン)』、『ディオバン(バルサルタン)』もご参照ください。
重大な副作用のまとめ
重大な副作用とは、命の危険があるもの、副作用が出た際に身体に重大な影響があるもの等の副作用症状ですので、是非、目を通していただいて、頭の片隅に置いておいてください!
簡単な症状も記載しておきますので、参考にしてください。
※副作用は必ず起きるものではございません
※ご自身の判断で使用を中止せず、異常がある時は必ず医師・薬剤師にご相談ください
血管浮腫
頻度は0.1%未満
血管浮腫(けっかんふしゅ)と読みます。
血管がむくむと言うと分かりにくいですが、急に皮膚や粘膜などが腫れることを言います。
多くの場合は、まぶた・くちびる・頬に多くみられます。
皮膚以外にも、口の中・舌・のど・消化管なども腫れることがあり、特にのどが腫れると息がしづらくなり、窒息するおそれがあるので危険です。
症状としては、くちびる・まぶた・舌・口の中・顔・首が大きく腫れる、のどの詰まり、息苦しさ、話しづらさ等が現れます 。
息苦しい場合は、直ちに救急車を呼んだり、病院を受診してください。
高カリウム血症
頻度不明
高カリウム血症(こうかりうむけっしょう)と読みます。
身体の中のミネラルは、人の活動・機能維持にとっても大事なものです。
なので、多すぎても少なすぎてもダメなのです。
症状としては、唇がしびれる、手足が動きづらい・力が入らない・しびれ・まひ、筋肉が衰える、筋力の減退などが現れます。
腎機能障害、コントロール不良の糖尿病の方などは元々血清カリウム値が高くなりやすいので注意が必要です。
それ以外にも原因として、他に飲んでいる薬が影響している場合もあります。
血液検査をしなければ分かりませんが、体の動きがいつもと違うなどの異常が現れたら医師に相談してください。
腎機能障害
頻度不明
腎機能障害(じんきのうしょうがい)と読みます。
腎臓の機能が低下することをいいます。
腎臓の大きな役割は、いらなくなった老廃物やナトリウム、塩素、カリウムなどの体内で使われる成分のいらない分を尿として排泄します。
腎不全が重症化すると、人工透析になることもあります。
症状としては、尿量が少なくなる、発疹、むくみ、体がだるい等が現れます。
むくみが急に強くなったり、尿の異常などが現れたら、主治医に相談してください。
ショック・失神・意識消失
頻度は、ショック(頻度不明)、失神(0.1%)、意識消失(0.1%)
この中ではショックが一番ひどい状態ではあります。
症状として、冷感、嘔吐、意識消失などが現れます。
特に血液透析中、厳重な減塩療法中、利尿降圧剤投与中の患者さんでは少ない量から薬を開始して、増量する時は患者さんの状態を十分に観察しながら徐々に行うこととされています。
肝機能障害・黄疸
頻度不明
肝機能障害(かんきのうしょうがい)、黄疸(おうだん)と読みます。
黄だん、AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-Pの上昇等を伴うこともあります。
症状としては、体のだるさ、食欲がない、発熱、発疹、吐き気・おう吐などです。
黄疸の症状は、目の白い部分が黄色になるなどが現れます。
血液検査をしなければ、体調不良との見分けが難しいので、異常があればご相談ください!
詳しくはこちら『肝機能障害、黄疸の症状とは』
低血糖
頻度不明
低血糖(ていけっとう)と読みます。
糖尿病の薬以外でも副作用で低血糖を起こすことがあります。もちろん糖尿病の薬を使用している方はさらに注意が必要です。
血糖値が、60‐70 mg/dL未満なると低血糖症状が現れやすくなります。
低血糖は、冷や汗、吐き気、強い空腹感、寒気、動悸、手足の震え、ふらつく、力のぬけた感じがする、頭が痛い、ぼんやりする、目の前が真っ暗になって倒れそうになるなどの症状が現れます。
最悪の場合、昏睡などもあります。
低血糖症状が現れたらすぐに糖分補給をしてください。(できればブドウ糖が良いですよ!)
自分ではどうしようもなくなったら、直ちに救急車を呼んでください!
アナフィラキシー
頻度不明
症状としては、呼吸困難(息苦しさ)、冷や汗、血圧の低下、意識の消失、胸の痛み、体が赤くなる(じんましん)などが現れます。
すぐに、受診か救急車を呼んでください!
詳しくはこちら『ショック、アナフィラキシーとは』
間質性肺炎
頻度不明
間質性肺炎(かんしつせいはいえん)と読みます。
肺は直径が約0.1~0.2mmくらいの肺胞(はいほう)と呼ばれる小さな袋が集まってできています。
例えるとブドウの房みたいな感じですね。
間質性肺炎(かんしつせいはいえん)は、この肺胞(ブドウの実)の壁や周辺に炎症が起こり硬くなるイメージです。
そうすると、うまく酸素が取り込めず、血液中の酸素が減ってしまい息が苦しくなります。
症状がひどいと、酸素ボンベを常に付けながらの生活をすることもあります。
症状としては、階段を登ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる、乾いたせきが出る、発熱等が現れます。
これらの症状が現れたら加齢だからとは思わずにご相談ください。
横紋筋融解症
頻度不明
横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)と読みます。
筋肉が壊れて、溶けてしまうイメージです。
症状としては、運動もしてないのに手足の筋肉が痛む、手足がしびれる、手足に力がはいらない、全身がだるい、尿の色が赤色になる等があります。
筋肉が壊れるだけでなく最悪の場合、他の臓器にダメージを与えて、重い障害を残すこともあります。
違和感があればすぐに受診して、血液検査をしてください。
その他の副作用のまとめ
『0.5%~5%未満』
めまい、頭痛、眠気、頭のぼんやり感、白血球減少、ほてり、心悸亢進、腹痛、下痢、嘔気、AST・ALT・Al-P・LDH上昇等の肝機能異常、せき、血清クレアチニン上昇、血中尿酸値上昇、血清カリウム上昇、耳鳴、倦怠感、CRP陽性、CK(CPK)上昇
『0.5%未満』
そう痒、発疹、不安感、ふらつき、上室性期外収縮、心房細動、上室性頻脈、食欲不振、消化不良、胃炎、口渇、口内炎、喀痰増加、咽頭炎、浮腫、脱力感、発熱、頻尿、結膜炎、目のチカチカ感、羞明
『頻度不明』
紅斑、じん麻疹、不眠、抑うつ状態、好酸球上昇、血小板減少、ヘモグロビン減少、貧血、低血圧、起立性低血圧、徐脈、鼓腸、嘔吐、関節痛、下肢痙攣、下肢痛、筋肉痛、背部痛、腱炎、視覚異常、多汗、胸痛、上気道感染、インフルエンザ様症状、尿路感染、膀胱炎、敗血症、しびれ、味覚異常
多くの方が使っている薬でも危険な副作用があります。
副作用が出た時は、対処スピードが重要です。
薬の副作用なのか、体調不良や病気によるものなど原因は多々あります。
実際には医師・薬剤師でも判断はかなり難しいものです。
少しでも気になることがあれば、ご相談ください。
医師には言いづらいこともあると思います。
その際は、お気軽にかかりつけの薬剤師に相談してくださいね!
この記事を読んでくださった皆さんは知識が増えただけでなく、自分自信を守る方法も増えましたね。
「副作用は常に隣り合わせ!」を忘れずに!!
参考
PMDAホームページ
添付文書
コメント