高血圧によく使われている優秀な薬の1つが
ディオバン(バルサルタン)
商品名:ディオバン
ジェネリック名(一般名):バルサルタン
この薬には20mg、40mg、80mg、160mgの4種類があります。
オーソライズドジェネリックという先発医薬品と作り方や添加物も同じ特別なジェネリックも出ているので、先発品にこだわりがある方も問題なく使えて、価格も安くなっている薬も出ています。
ディオバンは以前、製薬会社の社員が臨床研究の論文データを不正して問題になりました。
結果は無罪となりましたが・・・
このお薬は多くの方が使っていて、ニュースにもなったことから、患者さんによく聞かれまして大変でした笑
豆知識
高血圧の原因は?
高血圧については、『ミカルディス(テルミサルタン)』や『ブロプレス(カンデサルタン)』、『アテレック(シルニジピン)』、『アダラート(ニフェジピン)』も参考にしてください。
なぜ高血圧になってしまうのか簡単にまとめてみました。
高血圧になるには2つの要素が需要になってきます。
①遺伝
遺伝に関しては自分ではどうしようもできないですよね。
遺伝の要素は6割近くを占めると言われてもいます。
私も注意しないと・・・
②環境要因
こちらが残りの4割の影響があると言われますが、この環境要因がものすごく重要になります。
先ほどの遺伝の方も、この環境要因を見直すことで、改善も可能とされています。
その環境要因の中でも、塩分の摂りすぎが問題です。
他にも食事の欧米化から肥満による高血圧も多いです。
食生活が高血圧にはかなり影響しますので、普段から気を付ける必要があります。
梅干し1個でも相当の塩分量になります。
お菓子やジャンクフードは言うまでもありません・・・
肥満を改善するためにも適度な運動も大切ですよ。
また、歳をとることでも自然と血圧は高くなってしまいます。
これは、血管がだんだんともろくなっていくのも一因で、しょうがない部分でもあります。
65歳以上で約7割、75歳以上で約8割の方が高血圧だと言われています。
もちろん若い人も油断せずに、生活習慣を見直しましょう。
ディオバンの種類
この薬は20㎎、40㎎、80㎎、160㎎と4種類あると冒頭で書きました。
他の血圧の薬を飲んだことがある方にはmgの量が多いと感じるかもしれませんが、他の薬と比べるのは間違いです。
あくまでも、mgは同じ薬の中での強さに関わっているだけですので、心配しなくて大丈夫です。
また、同じ薬の中でmgが倍になったからといって、効果も倍になるわけではありません。この辺の詳細は難しいので説明はしませんが、人の体は複雑ということです。
重大な副作用のまとめ
重大な副作用とは、命の危険があるもの、副作用が出た際に身体に重大な影響があるもの等の副作用症状ですので、是非、目を通していただいて、頭の片隅に置いておいてください!
簡単な症状も記載しておきますので、参考にしてください。
※副作用は必ず起きるものではございません
※ご自身の判断で使用を中止せず、異常がある時は必ず医師・薬剤師にご相談ください
血管浮腫
頻度不明
血管浮腫(けっかんふしゅ)と読みます。
血管がむくむと言うと分かりにくいですが、急に皮膚や粘膜などが腫れることを言います。
多くの場合は、まぶた・くちびる・頬に多くみられます。
皮膚以外にも、口の中・舌・のど・消化管なども腫れることがあり、特にのどが腫れると息がしづらくなり、窒息するおそれがあるので危険です。
症状としては、くちびる・まぶた・舌・口の中・顔・首が大きく腫れる、のどの詰まり、息苦しさ、話しづらさ等が現れます 。
息苦しい場合は、直ちに救急車を呼んだり、病院を受診してください。
肝炎
頻度不明
肝炎(かんえん)と読みます。
この肝炎はC型肝炎などの感染による肝炎ではなく、肝機能障害の肝炎と考えてください。
症状としては、体のだるさ、食欲がない、発熱、発疹、吐き気・おう吐などです。
血液検査をしなければ、体調不良との見分けが難しいので、異常があればご相談ください!
詳しくはこちら『肝機能障害、黄疸の症状とは』
腎不全
頻度は0.1%未満
腎不全(じんふぜん)と読みます。
簡単に言うと、腎臓の機能が低下することをいいます。
腎臓の大きな役割は、いらなくなった老廃物やナトリウム、塩素、カリウムなどの体内で使われる成分のいらない分を尿として排泄します。
腎不全が重症化すると、人工透析になることもあります。
症状としては、尿量が少なくなる、発疹、むくみ、体がだるい等が現れます。
むくみが急に強くなったり、尿の異常などが現れたら、主治医に相談してください。
高カリウム血症
頻度は0.1%未満
高カリウム血症(こうかりうむけっしょう)と読みます。
身体の中のミネラルは、人の活動・機能維持にとっても大事なものです。
なので、多すぎても少なすぎてもダメなのです。
症状としては、唇がしびれる、手足が動きづらい・力が入らない・しびれ・まひ、筋肉が衰える、筋力の減退などが現れます。
腎機能障害、コントロール不良の糖尿病の方などは元々血清カリウム値が高くなりやすいので注意が必要です。
それ以外にも原因として、他に飲んでいる薬が影響している場合もあります。
血液検査をしなければ分かりませんが、体の動きがいつもと違うなどの異常が現れたら医師に相談してください。
ショック・失神・意識消失
頻度は、ショック(頻度不明)、失神(頻度不明)、意識消失(0.1%未満)
この中ではショックが一番ひどい状態ではあります。
症状として、冷感、嘔吐、意識消失などが現れます。
特に血液透析中、厳重な減塩療法中、利尿降圧剤投与中の患者さんでは少ない量から薬を開始して、増量する時は患者さんの状態を十分に観察しながら徐々に行うこととされています。
無顆粒球症・白血球減少
共に頻度不明
無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)・白血球減少(はっけっきゅうげんしょう)と読みます。
白血球は聞いたことある方が多いと思いますが、体に入った細菌などの異物をやっつける重要な働きをしています。
その白血球が著しく減ってしまい、細菌などの異物に対する抵抗力が弱くなります。
症状としては、突然の高熱、寒気、のどの痛み等の風邪症状が現れます。
風邪をひきやすくなったり、体調の異常があれば受診してください。
血小板減少
頻度は0.1%未満
血小板減少(けっしょうばんげんしょう)と読みます。
その名の通り、血液中の血小板が少なくなります。
症状としては、青あざができやすい、歯磨きの時に出血しやすい、生理出血が止まりにくくなって出血量が増える、鼻血などが現れます。
そのような症状がでた場合にはご相談ください。
間質性肺炎
頻度不明
間質性肺炎(かんしつせいはいえん)と読みます。
肺は直径が約0.1~0.2mmくらいの肺胞(はいほう)と呼ばれる小さな袋が集まってできています。
例えるとブドウの房みたいな感じですね。
間質性肺炎(かんしつせいはいえん)は、この肺胞(ブドウの実)の壁や周辺に炎症が起こり硬くなるイメージです。
そうすると、うまく酸素が取り込めず、血液中の酸素が減ってしまい息が苦しくなります。
症状がひどいと、酸素ボンベを常に付けながらの生活をすることもあります。
症状としては、階段を登ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる、乾いたせきが出る、発熱等が現れます。
これらの症状が現れたら加齢だからとは思わずにご相談ください。
低血糖
頻度不明
低血糖(ていけっとう)と読みます。
糖尿病の薬以外でも副作用で低血糖を起こすことがあります。もちろん糖尿病の薬を使用している方はさらに注意が必要です。
血糖値が、60‐70 mg/dL未満なると低血糖症状が現れやすくなります。
低血糖は、冷や汗、吐き気、強い空腹感、寒気、動悸、手足の震え、ふらつく、力のぬけた感じがする、頭が痛い、ぼんやりする、目の前が真っ暗になって倒れそうになるなどの症状が現れます。
最悪の場合、昏睡などもあります。
低血糖症状が現れたらすぐに糖分補給をしてください。(できればブドウ糖が良いですよ!)
自分ではどうしようもなくなったら、直ちに救急車を呼んでください!
横紋筋融解症
頻度は0.1%未満
横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)と読みます。
筋肉が壊れて、溶けてしまうイメージです。
症状としては、運動もしてないのに手足の筋肉が痛む、手足がしびれる、手足に力がはいらない、全身がだるい、尿の色が赤色になる等があります。
筋肉が壊れるだけでなく最悪の場合、他の臓器にダメージを与えて、重い障害を残すこともあります。
違和感があればすぐに受診して、血液検査をしてください。
中毒性表皮壊死融解症( TEN)・皮膚粘膜眼症候群(SJS)
いずれも頻度不明
中毒性表皮壊死融解症(ちゅうどくせいひょうひえしゆうかいしょう) TEN:Toxic Epidermalb Necrolysis
皮膚粘膜眼症候群(ひふねんまくがんしょうこうぐん) SJS:Stevens-Johnson症候群(スティーブンス-ジョンソン症候群)
と読みます。
症状としては、高熱(38℃以上)、目の充血、まぶたのはれ、くちびるのただれ、排尿・排便時の痛み、皮ふの広い範囲が赤くなるなどが現れます。
中毒性表皮壊死融解症は皮膚粘膜眼症候群よりもさらにひどい状態のことを言います。
放置していると、ひどい症状になることもあるので、異常が現れたら病院を受診してください。
多形紅斑
頻度不明
多形紅斑(たけいこうはん)と読みます。
皮ふにおこる症状で、少し盛り上がった1cmくらいの円形の赤い炎症ができます。
最初は湿疹やあざ、虫刺されに見えるかもしれません。
ただ、赤くなっているところの中心は少し陥没している特徴があります。
副作用の最重症の中の皮膚粘膜眼症候群(スティーブンスジョンソン症候群)への移行性があり、中間型も存在するので、似たような病態と考えられています。
そのため、早い鑑別と対処が重要になってきます。
皮ふの炎症が現れたら、医師に相談してください。
天疱瘡・類天疱瘡
いずれも頻度不明
天疱瘡(てんぽうそう)、類天疱瘡(るいてんぽうそう)と読みます。
皮ふに起こる症状です。
症状としては、皮膚にかゆみを伴う水疱やびらん、湿疹のようなものが現れます。
症状が現れたら医師に相談してみてください。
その他の副作用のまとめ
『0.1%~5%未満』
発疹、そう痒、めまい、頭痛、白血球減少、好酸球増多、貧血、低血圧、動悸、嘔気、腹痛、AST(GOT)・ALT(GPT)・LDH・ALP・ビリルビン値の上昇、咳嗽、血中尿酸値上昇、BUN上昇、血清クレアチニン上昇、血清カリウム値上昇、けん怠感、浮腫、CK(CPK)上昇
『0.1%未満』
じんましん、紅斑、眠気、不眠、頻脈、心房細動、嘔吐、下痢、便秘、口渇、食欲不振、咽頭炎、低ナトリウム血症、胸痛、疲労感、しびれ、味覚異常、ほてり、血糖値上昇、血清コレステロール上昇、血清総蛋白減少、腰背部痛、脱力感、耳鳴
『頻度不明』
光線過敏症、筋肉痛、関節痛、発熱
多くの方が使っている薬でも危険な副作用があります。
副作用が出た時は、対処スピードが重要です。
薬の副作用なのか、体調不良や病気によるものなど原因は多々あります。
実際には医師・薬剤師でも判断はかなり難しいものです。
少しでも気になることがあれば、ご相談ください。
医師には言いづらいこともあると思います。
その際は、お気軽にかかりつけの薬剤師に相談してくださいね!
この記事を読んでくださった皆さんは知識が増えただけでなく、自分自信を守る方法も増えましたね。
「副作用は常に隣り合わせ!」を忘れずに!!
参考
PMDAホームページ
添付文書
コメント